# 肩甲骨

**肩甲骨(scapula)**は、背中上部にある左右一対の三角形状の骨で、上腕骨および鎖骨と関節を構成し、上肢の動きを支える役割を持つ。肩甲骨は、運動機能・姿勢・肩関節の安定性において極めて重要な役割を果たしている。

## 解剖学的位置と構造

- 胸郭の背側、肋骨の上に浮かぶように存在する
- 複数の筋により胸郭に懸垂されている(関節による固定ではない)
- 上腕骨と連動して[肩関節](/term/shoulder_joint/)を構成する
- 鎖骨と連結して[肩鎖関節](/term/ac_joint/)を構成する

### 主な構造

- 肩甲棘(spine of scapula)
- 烏口突起(coracoid process)
- 関節窩(glenoid cavity)
- 肩峰(acromion)

## 肩甲骨の動き

肩甲骨は以下の6つの基本動作を持つ。これらは単独または複合的に発生し、上肢運動と連携する。

| 動き | 説明 |
|------|------|
| 挙上 | 上方への移動 |
| 下制 | 下方への移動 |
| 外転 | 背骨から離れる方向(肩をすくめる) |
| 内転 | 背骨に近づく方向(肩甲骨を寄せる) |
| 上方回旋 | 肩甲骨下端が外上方に回る(腕の挙上時) |
| 下方回旋 | 肩甲骨下端が内下方に回る(腕を下げる時) |

## 肩甲骨と筋肉の関係

肩甲骨は多数の筋により制御される。特に重要なものを以下に示す:

- [僧帽筋](/muscle/trapezius/)(上部・中部・下部)
- [菱形筋](/muscle/rhomboids/)
- [前鋸筋](/muscle/serratus_anterior/)
- [肩甲挙筋](/muscle/levator_scapulae/)
- [小胸筋](/muscle/pectoralis_minor/)
- [広背筋](/muscle/latissimus_dorsi/)

これらの筋の協調的な働きにより、肩甲骨の安定性と可動性が両立される。

## 肩甲骨の機能的役割

- 上肢の支持と運動の安定性向上
- [ローテーターカフ](/term/rotator_cuff/)の働きを補助
- 上腕の可動域を拡大
- パワー伝達の起点(投球動作など)

## 肩甲骨の不調とその影響

肩甲骨の動きや安定性に問題があると、以下のような症状を引き起こす可能性がある:

- [肩関節インピンジメント](/term/shoulder_impingement/)
- 首・肩の痛みやこり
- 背中の筋緊張・張り
- 可動域制限
- 姿勢不良([猫背姿勢](/term/kyphotic_posture/))

## 改善・強化のためのエクササイズ

- 肩甲骨リトラクション(内転)運動
- チューブロー(ゴムバンドでの引きつけ運動)
- [バードドッグ](/term/bird_dog/)
- [サイドレッグレイズ](/term/side_leg_raise/)と組み合わせた体幹制御
- 壁立ち姿勢での肩甲骨の可動確認

## 関連項目

- [肩関節](/term/shoulder_joint/)
- [僧帽筋](/muscle/trapezius/)
- [肩関節インピンジメント](/term/shoulder_impingement/)
- [前鋸筋](/muscle/serratus_anterior/)
- [猫背姿勢](/term/kyphotic_posture/)
- [体幹トレーニング](/term/core_training/)