# 大菱形筋

**大菱形筋(rhomboid major)**は、背中の深層に位置する筋肉であり、肩甲骨を内側に引き寄せて安定させる機能を持つ。主に[小菱形筋](/muscle/rhomboid_minor/)や[僧帽筋](/muscle/trapezius/)と協働し、良好な姿勢の維持や肩甲骨の安定に寄与する。

## 解剖学的位置

- **起始**:第2〜第5胸椎(T2〜T5)の棘突起
- **停止**:肩甲骨内側縁の下部(肩甲棘の下方)

大菱形筋は[小菱形筋](/muscle/rhomboid_minor/)の下に連続して存在し、筋線維の方向もほぼ一致している。

## 主な作用

- **肩甲骨の内転**:肩甲骨を背骨側へ引き寄せる
- **肩甲骨の下方回旋**:腕を下ろす際に肩甲骨を回旋させる
- **肩甲骨の固定**:上肢の動作中に肩甲骨の位置を安定させる

## 大菱形筋の機能的役割

- 正しい姿勢を保つために必要な筋肉
- 巻き肩や[猫背姿勢](/term/kyphotic_posture/)を予防
- 肩関節の安定性を高め、[肩関節インピンジメント](/term/shoulder_impingement/)などの障害を防ぐ
- ローイングやプル系動作のパフォーマンス向上に貢献

## 弱化または過緊張による影響

### 筋力低下時の問題

- 肩甲骨が外側へ引っ張られやすくなる(外転・翼状肩甲)
- 背部の張力バランスが崩れ、肩や頸部への負担が増す
- 姿勢が前傾しやすくなる

### 過緊張時の症状

- 肩甲骨の可動域低下
- 上背部の筋緊張やこり
- 筋膜の短縮による動作不全

## トレーニング方法

### 強化エクササイズ

- [シーテッドロー](/term/seated_row/)(肩甲骨の内転を意識)
- [チューブロウ](/term/tube_rowing/)(姿勢を正して行う)
- [フェイスプル](/term/face_pull)(肩甲骨を引き寄せる)
- [ベントオーバーロウ](/term/bent_over_rowing/)(肩をすくめず、肩甲骨で引く)

### 注意点

- 動作中に僧帽筋上部の代償が起きやすいため、肩をすくめない
- ゆっくりと収縮を感じながら動作する

## ストレッチとリカバリー

- 両腕を前方に伸ばして肩甲骨を外転させるストレッチ
- フォームローラーを用いた胸椎伸展リリース
- 姿勢調整や[筋膜リリース](/term/fascia_release/)の併用

## 関連項目

- [小菱形筋](/muscle/rhomboid_minor/)
- [僧帽筋](/muscle/trapezius/)
- [肩甲骨](/term/scapula/)
- [猫背姿勢](/term/kyphotic_posture/)
- [肩関節インピンジメント](/term/shoulder_impingement/)
- [筋膜リリース](/term/fascia_release/)