# 菱形筋

**菱形筋(rhomboid muscles)**は、肩甲骨を脊柱方向に引き寄せ、安定させる働きを持つ背部の深層筋である。大きさにより**大菱形筋**と**小菱形筋**に分けられる。良姿勢の維持や肩甲骨の動作制御に重要な役割を担っている。

## 解剖学的位置

| 筋名 | 起始 | 停止 |
|------|------|------|
| [小菱形筋(rhomboid minor)](/muscle/rhomboid_minor) | 第7頸椎〜第1胸椎の棘突起 | 肩甲骨内側縁の上部 |
| [大菱形筋(rhomboid major)](/muscle/rhomboid_major) | 第2〜第5胸椎の棘突起 | 肩甲骨内側縁の下部 |

両者は[僧帽筋](/term/trapezius/)の深層に存在し、肩甲骨の内側で縦に並んでいる。

## 主な作用

- **肩甲骨の内転(内側への引き寄せ)**
- **肩甲骨の下方回旋**
- **肩甲骨の固定・安定化**

これらの作用により、腕の引き動作(ローイング動作)や姿勢維持に貢献する。

## 機能的役割と重要性

- **姿勢の保持**:背中を丸めずに[胸椎伸展](/term/thoracic_extension/)を維持するために重要
- **肩甲骨の位置制御**:動作中の肩甲骨の「浮き」や「開き」を抑える
- **肩関節の機能維持**:肩甲骨の安定は[肩関節インピンジメント](/term/shoulder_impingement/)の予防にもなる

## 菱形筋の弱化による影響

- 肩甲骨の外転(いわゆる「巻き肩」)や翼状肩甲(肩甲骨が背中から浮く状態)
- 猫背や肩こりの一因
- 腕の引き動作(懸垂やローイング)における力の伝達効率低下

## 強化トレーニング

菱形筋を鍛えるための代表的なエクササイズ:

- [リアデルトロウ](/term/rear_delt_row/)
- [シーテッドロウ](/term/seated_row/)
- [フェイスプル](/term/face_pull/)
- [チューブローイング](/term/tube_rowing/)
- T字の姿勢での肩甲骨内転収縮(例:[Tレイズ](/term/t_raise/))

### 実施時の注意点

- 肩をすくめず、肩甲骨を寄せる意識を持つ
- 上部僧帽筋に代償させないようにする
- ゆっくりとしたコントロール動作で筋感覚を高める

## ストレッチとリカバリー

過活動や過緊張の場合には、以下のアプローチが有効:

- ストレッチポールやフォームローラーでの胸郭リリース
- 腕を前方に伸ばし肩甲骨を広げるストレッチ
- 姿勢改善・[リカバリー](/term/recovery/)の質向上

## 関連項目

- [僧帽筋](/muscle/trapezius/)
- [肩甲骨](/term/scapula/)
- [胸椎伸展](/term/thoracic_extension/)
- [肩関節インピンジメント](/term/shoulder_impingement/)
- [猫背姿勢](/term/kyphotic_posture/)