# 前鋸筋(ぜんきょきん)

**前鋸筋**(Serratus Anterior)は、肋骨から肩甲骨にかけて走行する筋肉であり、肩甲骨の動きや安定に大きく関与している。別名「ボクサー筋」とも呼ばれ、パンチ動作の際に重要な役割を果たす。

## 基本情報

- **起始**:第1〜第8(または第9)肋骨の外側
- **停止**:肩甲骨の内側縁(前面)
- **支配神経**:長胸神経(C5〜C7)
- **主な作用**:
  - 肩甲骨の外転(肩甲骨を外側に引く)
  - 肩甲骨の上方回旋(腕を挙げる時の補助)
  - 肩甲骨の固定(体幹に対する安定)

## 機能と重要性

- 腕を前方または上方に伸ばす動作で重要
- 肩甲骨を肋骨に押し付け、安定させる役割
- クライミング、体操、ボクシングなどの競技で頻繁に使われる
- 前鋸筋の弱化は「翼状肩甲骨(肩甲骨が浮く状態)」の原因となる

## 鍛え方・エクササイズ

### 1. プッシュアップ・プラス

- 通常の腕立て伏せに加え、トップポジションで肩甲骨をさらに前方に押し出す
- 前鋸筋を集中的に刺激できる

### 2. ダイナミック・ウォールプッシュ

- 壁に手をつき、肩甲骨を寄せたり離したりする動作を繰り返す
- 初心者や肩痛持ちにも推奨

### 3. バンド付きパンチ

- セラバンドを利用してパンチ動作を行う
- ボクサー筋としての機能を強化

### 4. ベアプランク・ショルダータップ

- 四つん這いの体勢から対側の肩をタップ
- コアと連動した前鋸筋の安定性強化

## ストレッチ方法

- 壁に手を置き、体をひねって前鋸筋を伸ばす
- 四つん這いで体を横に倒しながら肩甲骨を外転させる

## 機能不全の兆候

- 肩の可動域制限
- 翼状肩甲骨
- 肩や首の慢性的な緊張
- プッシュアップ時の肩甲骨の不自然な動き

## 関連項目

- [肩甲骨エクササイズ](/term/scapular_exercises/)
- [アクティブハング](/term/active_hang/)
- [パッシブハング](/term/passive_hang/)
- [モビリティトレーニング](/term/mobility_training/)
- [プッシュアップ](/term/push_up/)