# 手内筋群
**手内筋群**(Intrinsic muscles of the hand)は、手のひらと手指の内部に存在する小さな筋肉群であり、繊細な指の動きや力の調整を担う。これらの筋は手の中に起始と停止を持ち、外部から動かす[前腕屈筋群](/muscle/forearm_flexors/)や[前腕伸筋群](/muscle/forearm_extensors/)に対し、「内在筋」と呼ばれる。
## 主な筋群
手内筋群は、以下のように部位ごとに分類される。
### 1. 母指球筋(Thenar muscles)
- [母指球筋](/muscle/thenar_muscles/)参照
→ 親指の繊細な運動(対立・屈曲・外転など)に関与
### 2. 小指球筋(Hypothenar muscles)
- **小指外転筋(Abductor digiti minimi)**
- **短小指屈筋(Flexor digiti minimi brevis)**
- **小指対立筋(Opponens digiti minimi)**
→ 小指の独立した動きを可能にする
### 3. 虫様筋(Lumbricals)
- 各指(第2〜5指)の屈曲と伸展の協調を行う
- MCP関節(指の付け根)を屈曲しつつ、IP関節(中・末節)を伸展するという独特な動作が可能
### 4. 骨間筋(Interossei)
- **掌側骨間筋(Palmar interossei)**:指を内転(中央に寄せる)
- **背側骨間筋(Dorsal interossei)**:指を外転(中央から開く)
→ 指の開閉や細かいコントロールに不可欠
## 機能
- 繊細な握り動作(ピンチ、つまみ、回す)
- 指の分離・協調運動
- 握力や筆記動作などの精密動作の制御
- MCP関節とIP関節の複雑な同時制御
## トレーニングと強化法
### セラピュットボールの握り運動
- 手全体を使って反復して握る
### ゴムバンドでの指開き
- 手指にゴムバンドをかけて外側に開く運動で骨間筋を刺激
### ピンチ系トレーニング
- [ピンチグリップ](/term/pinch_grip/)や[ハンドグリッパー](/term/hand_gripper/)も一部筋群を動員
### 虫様筋の神経再教育運動
- 指を曲げずにまっすぐ伸ばしたまま軽く曲げるなど、協調性を意識する運動
## 臨床的意義
- **手根管症候群**や**尺骨神経麻痺**により手内筋の麻痺や萎縮が起こる
- 虫様筋・骨間筋の障害は「鉤爪指変形」などの原因にもなる
- 精密な動作や筆記能力の低下に直結するため、リハビリや筋再教育が重要
## 関連項目
- [母指球筋](/muscle/thenar_muscles/)
- [ピンチグリップ](/term/pinch_grip/)
- [握力](/term/grip_strength/)
- [前腕屈筋群](/muscle/forearm_flexors/)
- [手根管症候群](/term/carpal_tunnel_syndrome/)
- [尺骨神経麻痺](/term/ulnar_nerve_palsy/)